申 宜孫(シン・ウィソン, Shin Eui-son, 韓国語: 신의손、1960年1月12日 - )は、ソビエト連邦・タジク・ソビエト社会主義共和国出身の元サッカー選手、サッカー指導者。ポジションはゴールキーパー。帰化前の名前はヴァレリー・コンスタンチノーヴィチ・サリチェフ(Valeri Konstantinovich Sarychev, ロシア語: Валерий Константинович Сарычев)。
Kリーグ時代の2000年までの登録名はシャリチェフ(ハングル: 샤리체프)。
1992年から韓国のクラブでプレーし、2000年に韓国に帰化した。Kリーグ史上最高の外国籍選手の一人といわれる。
経歴
選手時代
1978年、ソビエト連邦2部リーグに所属する地元のクラブ、CSKAパミール・ドゥシャンベのテストに合格し、そのキャリアをスタートさせた。1981年は兵役で1部リーグのPFC CSKAモスクワに所属したが、5試合の出場に留まった。1982年からはFCトルペド・モスクワに在籍。トルペドでは何年もリザーブチームでのプレーが続いたが、1987年のシーズン終盤、4年ぶりにトップチームに起用された試合で活躍し、チームも最終的にUEFAカップ出場権を獲得した。1991年にはソビエト連邦リーグの最優秀GKに選ばれた。
1992年に韓国・Kリーグの一和天馬に移籍した。一和は1989年のKリーグ加盟初年度以来、毎年リーグ最多失点を喫していたチームだったが、サリチェフが加入した1992年はリーグ最小の失点数(30試合21失点)で、優勝争いにも参加、続く3シーズン(1993年、1994年、1995年)に一和はリーグを3連覇した。1995年にはアジアクラブ選手権に優勝した。サリチェフは1992年から4年連続でKリーグベストイレブンに選出された。
サリチェフの活躍の影響によって、Kリーグでは他のクラブもこぞって外国籍GKを獲得するようになったが、韓国人GKに出場機会を与えるために韓国プロサッカー連盟は外国籍GKに対する制限を1996年より設け始め、1999年には全面的に禁止された。
1999年、安養LGチータースに選手兼コーチとして移籍した。2000年に韓国に帰化し、名前を申宜孫(シン・ウィソン)とした。この名前は、彼のニックネームとしてファンに親しまれていた「神の手」を意味する韓国語と同じ発音である。帰化の際、九里申氏の始祖となった。彼は韓国に帰化した最初の外国籍サッカー選手だった。韓国人になったことで再び試合にも出場可能となると、申宜孫はそのブランクと40歳という年齢を物ともしない活躍を見せ、安養はリーグ最少失点で2000年のKリーグチャンピオンに輝いた。2001年にもリーグ準優勝を収め、2000年と2001年は再びベストイレブンに選出された。2004年8月31日の浦項スティーラース戦で引退した。
タジキスタン代表
1997年8月24日に韓国で行われた韓国対タジキスタンの親善試合で、タジキスタン代表として1試合に出場した。タジキスタンはパスポートの不備によりメンバーが足りず、急遽、韓国国内でプレーしていたサリチェフとビタリー・パラクヘネビッチの2人のソビエト連邦出身者が招集された。試合は4-1で韓国が勝利した。
指導者時代
引退後はKリーグのFCソウルや慶南FCのコーチを歴任。WKリーグの高陽大教ヌンノピWFCを指導する傍ら、2009年にはFIFA U-20ワールドカップで準々決勝に進んだ韓国U-20代表のGKコーチを務めた。
所属クラブ
- 1978年 - 1981年 CSKAパミール・ドゥシャンベ
- 1981年 PFC CSKAモスクワ
- 1982年 - 1991年 FCトルペド・モスクワ
- 1992年 - 1998年 一和天馬
- 2000年 - 2004年 安養LGチータース
タイトル
チームタイトル
- トルペド・モスクワ
- USSRカップ
- 準優勝:1988、1989、1991
- USSRカップ
- 一和天馬、天安一和天馬
- Kリーグ
- 優勝:1993、1994、1995
- 準優勝:1992
- FAカップ
- 優勝:1999
- 準優勝:1997
- Kリーグカップ
- 優勝:1992
- 準優勝 1995
- アジアクラブ選手権
- 優勝:1995-96
- 準優勝:1996-97
- アジアスーパーカップ
- 優勝:1996
- アフロ・アジアクラブ選手権
- 優勝:1996
- Kリーグ
- 安養LGチータース、FCソウル
- Kリーグ
- 優勝:2000
- 準優勝:2001
- 韓国スーパーカップ
- 優勝:2001
- アジアクラブ選手権
- 準優勝:2002
- Kリーグ
個人タイトル
- ソビエト連邦トップリーグ最優秀GK:1991
- Kリーグベストイレブン:1992、1993、1994、1995、2000、2001
指導歴
- 1999年 安養LGチータース GKコーチ
- 2005年 FCソウル コーチ
- 2006年 - 2007年 慶南FC GKコーチ
- 2008年 - 2011年 大教カンガルースWFC/高陽大教ヌンノピWFC シニアコーチ兼GKコーチ
- 2009年 韓国U-20代表 GKコーチ
- 2009年 韓国U-23代表 GKコーチ
- 2012年 - 2015年 釜山アイパーク GKコーチ
- 2016年 - 2017年 利川大教WFC GKコーチ
- 2018年 FC安養 GKコーチ
- 2023年6月 - 2024年 金海市庁FC GKコーチ
- 2023年 - 天安シティFC U-18(天安工業高等学校サッカー部) GKコーチ
脚注
外部リンク
- 申宜孫 - National-Football-Teams.com (英語)
- 申宜孫 - FootballDatabase.eu (英語)
- 申宜孫 - Transfermarkt.comによる選手データ (英語)
- 申宜孫 - Transfermarkt.comによる指導者データ (英語)
- 申宜孫 - K League (韓国語)



